2024年の米国大統領選でドナルド・トランプ氏が返り咲く可能性が高まる中、「トランプ関税」が再び注目を集めています。彼はすでに「全輸入品に一律10%関税を課す」「中国製品には最大60%」といった強硬な通商政策を掲げており、グローバル市場に大きな影響を与えると見られています。
米中対立の激化や保護主義の再燃は、世界経済にとってリスクとなる一方、日本企業にとってはビジネスチャンスとなる場面もあります。今回は、そんな「トランプ関税」を背景に注目される日本株をテーマ別に紹介します。
📌 目次(Table of Contents)
- 1. 脱中国・サプライチェーン再編で恩恵を受ける企業
- 2. 米国での現地生産比率が高い製造業
- 3. 日本国内回帰で恩恵を受ける地場企業
- 4. 円安メリットが期待される輸出関連株
- 5. 投資家としての戦略とリスク管理
- まとめ:不透明な時代だからこそ「見極め」が重要
1. 脱中国・サプライチェーン再編で恩恵を受ける企業
トランプ政権が再登場すれば、米企業は「中国依存」からの脱却を迫られる可能性があります。この流れで注目されているのが、日本企業による中立国・東南アジア・国内への生産移管や、それを支援する企業です。
注目銘柄:村田製作所(6981)、SMC(6273)など
これらの企業はすでにベトナム・タイなどに生産拠点を持ち、米中摩擦の影響を受けにくい体制を整えています。また、ロボット・自動化関連の企業は、北米での製造回帰にともなって受注拡大が期待されます。
加えて注目される分野
- 商社(豊富なグローバルネットワーク)
- 物流(脱中国によるルート多様化)
2. 米国での現地生産比率が高い製造業
米国市場を主戦場とする日本メーカーの中で、すでに米国内での生産体制を整えている企業は、関税の影響を回避できるという点で評価されています。
注目銘柄:トヨタ自動車(7203)、コマツ(6301)、キーエンス(6861)など
トヨタは米国に複数の工場を持ち、「アメリカで作ってアメリカで売る」体制を徹底。コマツも米国工場を活用し、建機の地産地消を実現しています。こうした企業は、たとえ関税が導入されても競争優位を保ちやすいと見られています。
3. 日本国内回帰で恩恵を受ける地場企業
「安い中国からの輸入」に頼っていたビジネスモデルは、トランプ関税で崩壊する可能性があります。これにより、日本国内での製造や調達の需要が再び高まることが予想されます。
注目銘柄:オークマ(6103)、THK(6481)、ミスミグループ本社(9962)など
これらの企業は、精密部品・自動機械など、日本国内の製造業を支える存在です。国内需要の回復が追い風となり、中長期的に業績拡大が期待されます。
さらに、地方経済の再活性化に繋がる可能性もあり、関連銘柄には「地銀」「地方インフラ関連」なども含めて注目する価値があります。
4. 円安メリットが期待される輸出関連株
トランプ政権下では、貿易摩擦に加えてドル高・円安の進行が見込まれます。日本の輸出企業にとって、円安は売上・利益の押し上げ要因です。
注目銘柄:ソニーグループ(6758)、日立製作所(6501)、ファナック(6954)など
特にグローバルで製品展開している企業は、為替差益の恩恵を受けやすく、外需依存度が高い製造業は全般的に評価されやすくなります。
また、トランプ政権時代にはインフラ投資も掲げられていたため、建設機械、電力設備、交通インフラ関連なども再注目される分野です。
5. 投資家としての戦略とリスク管理
「トランプ関税」で恩恵を受ける企業もあれば、ダメージを受ける企業も当然存在します。たとえば中国依存の高い電子部品メーカーや、米国との政治的摩擦の影響を受けやすいハイテク分野には警戒が必要です。
投資家としては以下のような戦略が有効です:
- 分散投資:業種・地域の偏りを避ける
- 米国・ASEANシフト企業に注目:中長期で評価される
- 為替ヘッジ:円安リスクを抑える工夫も必要
- ニュースウォッチ:政策発表に機敏に反応する
まとめ:不透明な時代だからこそ「見極め」が重要
トランプ氏の再登場は、日本株にとってリスクであると同時に、選別眼さえあればチャンスでもあります。サプライチェーンの再構築、米国製造回帰、円安メリットなど、多角的に恩恵を受ける日本企業に注目することが、これからの投資では重要です。
今後の大統領選・米中関係の動向を見ながら、早めのポートフォリオ調整を検討してみてはいかがでしょうか。
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