20代のあなたへ:家を買うのは「夢」ではなく「投資」である
「そろそろ結婚も考えるし、マイホームかな?」「でも、一生家賃を払い続けるのももったいない気がする……」
20代の社会人にとって、住まいの問題は避けては通れない大きな悩みですよね。SNSを見れば「若いうちに家を買って資産形成!」というキラキラした投稿がある一方で、「35年ローンは人生の監獄だ」なんて怖い言葉も耳にします。
給料もまだそれほど高くないし、これから結婚や出産、転職といったライフイベントが目白押しの私たち。大きな決断をするのは本当に勇気がいりますよね。
結論からお伝えすると、マイホームか賃貸か、どちらが得かの正解は「家を売るその時まで、誰にも分からない」というのが、この世界の冷徹な真実です。
「えっ、そんなの無責任じゃない?」と思うかもしれません。しかし、この「分からない」という前提を受け入れることこそが、人生最大の買い物で致命的な失敗を避けるための第一歩なんです。
今回は、月間100万PVの当ブログが、感情や広告のキャッチコピーを一切排除し、「簿記・会計の視点」と「客観的な数字」で、20代が知っておくべき不動産の本質を徹底解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは「営業マンの言葉」ではなく「自分の頭」で、納得感のある選択ができるようになっているはずです。
目次
- 住宅購入は「居住」ではなく「不動産投資」である
- 20代が知るべき、損得を左右する「3つの不確実な変数」
- なぜ、20代のうちは「賃貸の方が無難」と言えるのか
- 【シミュレーション】5,000万円の家を買うと、10年後に何が起きる?
- 失敗しないためのアクションプラン:今日からできる3つのこと
- まとめ:納得感のある「住まいの出口戦略」を
1. 住宅購入は「居住」ではなく「不動産投資」である
よく「家賃は掛け捨てだけど、持ち家は資産になる」と言われますよね。でも、これには大きな落とし穴があります。
経済的な実態で見れば、家を買うという行為は「不動産投資」そのものです。
簿記の視点で「家」を捉えてみよう
少し難しい言葉ですが、家計を「会社」のように考えてみましょう。
- 賃貸の場合:損益計算書(P/L)上の「費用(家賃)」が発生するだけ。シンプルです。
- 持ち家の場合:貸借対照表(B/S)に「資産(建物・土地)」と「負債(ローン)」が同時に計上されます。
ここで重要なのは、「資産(家の価値)」は時間が経てば減っていくのに、「負債(ローンの残高)」はゆっくりとしか減らないという点です。
最終的に「持ち家が得だった」と言えるのは、数十年後に家を売った価格が、それまでに払ったローン利息、税金、修繕費、そして購入価格との差損をすべて上回った場合だけ。
つまり、家を買うということは「数十年後の売却価格を当てるギャンブル」に参加しているのと同じなんです。住むための場所だと思っていても、市場という荒波からは逃げられません。
2. 20代が知るべき、損得を左右する「3つの不確実な変数」
「でも、住宅ローン控除もあるし、今は低金利だから大丈夫じゃない?」と考える方も多いでしょう。しかし、20代がこれから直面する35年という長い月日には、あまりにも多くの「変数」が存在します。
① 金利変動リスク
現在は歴史的な低金利ですが、これが35年間続く保証はありません。もし金利が1%上昇しただけで、総支払額は数百万円単位で跳ね上がります。20代の低い給料の中から、この増額分を捻出するのは至難の業です。
② リセールバリュー(再販価値)の不透明さ
「駅から徒歩5分」なら安心かもしれませんが、20年後の日本は人口減少が進んでいます。今「人気」のエリアが、将来も同じ価値を保っているでしょうか?特に地方や郊外の戸建ては、価値がゼロどころか、マイナス(負動産)になるリスクすらあります。
③ 維持コストの恐怖
賃貸なら、エアコンが壊れても雨漏りしても大家さんが直してくれます。でも持ち家はすべて自己負担。
- 固定資産税
- 火災・地震保険料
- マンションなら修繕積立金と管理費(これらは年々上がります)
- 10〜15年ごとの大規模修繕(外壁、給湯器、水回りなど)
これらを合計すると、「ローン以外の出費」だけで月々数万円分に相当することも珍しくありません。
3. なぜ、20代のうちは「賃貸の方が無難」と言えるのか
20代の最大の武器は、その「柔軟性(機動力)」です。
転職で年収を上げる、結婚してパートナーと暮らす、子供が生まれて広い部屋が必要になる、あるいは親の介護で実家に戻る……。20代から30代にかけて、ライフスタイルは激変します。
賃貸のメリットは「身軽さ」
賃貸なら、状況に合わせていつでも住み替えができます。嫌な隣人が現れても、職場が変わっても、引っ越せば解決です。しかし、35年ローンで縛られた家からは簡単には逃げられません。
また、不動産市場で本当にお得な「お宝物件」は、プロの投資家が即座に現金で買ってしまいます。私たち一般人の目に触れるチラシやネット広告の物件の多くは、投資的な観点からは「利益が出にくい」ものがほとんどなのです。
特別な目利きができない限り、「負債を抱えずに、家賃という確定したコストで生活を管理する」ほうが、20代の家計にとっては圧倒的にリスクが低いと言えます。
4. 【シミュレーション】5,000万円の家を買うと、10年後に何が起きる?
具体的に、数字で見てみましょう。5,000万円の新築マンションをフルローンで購入し、10年後に売却する場合を考えます。
ケースA:10年後も「5,000万円」で売れた場合
「買った値段で売れた!タダで住めた!」と大喜びしそうですが、実はそうではありません。10年間の維持コストを計算してみましょう。
- ローン利息:約200万円
- 固定資産税:約100万円
- 管理費・修繕積立金:約300万円
- 購入・売却時の諸費用(仲介手数料など):約300万円
- 合計:約900万円
10年間で900万円、つまり月々7.5万円を「居住コスト」として支払ったことになります。これなら、同レベルの賃貸に住むのと大差ないか、少し安いくらいかもしれません。
ケースB:10年後に「4,000万円」に値下がりした場合
新築は「鍵を開けた瞬間に価値が2割下がる」と言われます。もし1,000万円値下がりしたら……。
- 売却損:1,000万円
- 維持コスト:900万円
- 合計:1,900万円の支出
月々に換算すると、約15.8万円です。「月々10万円のローン支払い」のつもりで買ったのに、実際には月16万円近い家賃を払っていたのと同じことになってしまいます。これが不動産の怖さです。
5. 失敗しないためのアクションプラン:今日からできる3つのこと
ここまで読んで「家を買うのが怖くなった……」という方もいるかもしれません。でも、絶望する必要はありません。大切なのは、感情に流されず、「戦略」を持つことです。
明日から、以下の3つを意識してみてください。
① 「簿記」の基礎を学んでみる
自分の家計を、貯金(資産)だけでなく、奨学金などのローン(負債)を含めて把握する癖をつけましょう。YouTubeの解説動画を見るだけでも、世界の見え方が変わります。
② 住みたいエリアの「中古価格」をチェックする
新築のチラシを見るのはやめましょう。不動産ポータルサイトで、そのエリアの「築10年」「築20年」の物件がいくらで売られているか見てください。それが、あなたが今検討している物件の「未来の姿」です。
③ 「浪費(趣味)」と割り切れるか自問自答する
もし、経済的に損をしても「どうしてもこのキッチンがいい!」「この庭で犬を飼いたい!」という強い希望があるなら、それは立派な「消費(趣味)」です。投資としてではなく、「高い車を買うのと同じ贅沢」と納得して買うのであれば、それは一つの正解と言えます。
6. まとめ:納得感のある「住まいの出口戦略」を
「マイホームか賃貸か」という問いへの誠実な答えは、「将来の売却価格が誰にも分からない以上、現時点ではどちらが得か断言できない」です。
- 資産価値が落ちない物件を適正価格で買えるなら、持ち家が得。
- しかし、そんな物件を見つけるのは難しく、多くの20代にとっては賃貸の方がリスクが低い。
住宅は「人生最大の買い物」ではなく、「人生最大級の投資」です。
周りの「家賃はもったいない」という声や、広告の「家賃並みの支払いで夢のマイホーム」という言葉に惑わされないでください。
あなたの人生の主導権は、銀行や不動産会社ではなく、あなた自身が握っています。まずは「身軽さ」を武器に、知識という一生モノの資産を蓄えていきましょう。

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