「子どもが生まれたら、しばらく仕事を休んで育児に専念したいな」
そんな幸せな計画を立てている20代の皆さん、素晴らしいですね。でも、ちょっとだけ立ち止まって、「休んでいる間のお金」について、リアルなシミュレーションをしたことはありますか?
「産休や育休中は、社会保険料が免除されるし、給付金ももらえるから大丈夫!」
そう思っているなら、少し注意が必要です。実は、多くの先輩パパ・ママが陥る「住民税の罠」というものが存在するのです。
給料が1円も入ってこない時期に、突然届く数万円の納付書。
「えっ、収入がないのにどうして?」とパニックにならないために、今のうちに正しい知識を身につけておきましょう。
1. 産休・育休中に「免除されるもの」と「されないもの」
まず、休業中のお金の出入りを整理しましょう。日本の社会保障制度はとても手厚く、休業中の負担を減らす仕組みがちゃんと用意されています。
◎ 支払いが免除・発生しないもの
- 社会保険料(健康保険・厚生年金)
会社員の方であれば、申請することで本人負担分も会社負担分も全額免除されます。しかも、免除されている間も「払ったこと」としてカウントされるので、将来もらえる年金額が減る心配もありません。これは本当にありがたい制度ですよね。 - 所得税
産休中にもらえる「出産手当金」や、育休中の「育児休業給付金」は、税法上「非課税所得」となります。つまり、これらのお金に所得税はかかりません。他に副業などで大きな収入がない限り、その年の所得税はゼロになるケースがほとんどです。
× 免除されないもの
- 住民税
ここが最大の落とし穴です。結論から言うと、住民税だけは産休・育休中であっても一切免除されません。
なぜ、他のものは免除されるのに、住民税だけは払わなければならないのでしょうか?
2. なぜ収入ゼロなのに住民税がかかる?「後払いの恐怖」
20代の皆さんは、毎月の給与明細をじっくり見たことがありますか?
住民税が毎月引かれていると思いますが、実はこの税金、「去年の頑張りに対する請求」なのです。
住民税は「1年遅れ」でやってくる
住民税の仕組みを一言で言うと、「前年1月〜12月の所得」に基づいて計算され、翌年の6月から支払い始めるというものです。
人気YouTubeチャンネル「両学長 リベラルアーツ大学」では、この現象を「ヒーローは遅れてやってくるが、住民税も遅れてやってくる」と例えています。かっこいい響きですが、家計にとっては恐ろしい「ヴィラン(敵)」のような存在かもしれません。
例えば、あなたが2025年の1月から育休に入ったとします。2025年の給料はゼロですが、役所からは「あなたは2024年にしっかり働いて稼いでいましたよね?その分の住民税を、2025年に払ってくださいね」と請求が来るのです。
20代のうちは「今月の給料から引かれるのは、今月分の税金」と思いがちですが、住民税に関してはタイムラグがあることを絶対に忘れないでください。
3. 「特別徴収」から「普通徴収」への切り替えがもたらす衝撃
会社員の場合、住民税は給料から天引きされる「特別徴収」という形をとっています。しかし、育休で給料がなくなると、天引きができなくなりますよね。
ここで支払い方法が変わるのですが、これがまた家計を圧迫する要因になります。
分割回数が減って、1回あたりの負担が激増
- 特別徴収(天引き):年間の税額を12回に分けて、毎月コツコツ払う。
- 普通徴収(自分で納付):自宅に届く納付書で、年4回(6月、8月、10月、1月)に分けて払う。
想像してみてください。例えば年間の住民税が12万円だった場合。
天引きなら毎月1万円の負担で済みましたが、普通徴収になると1回につき3万円もの請求が届くのです。
20代のうちは給料も上がり始めたばかりで、貯金もまだ十分ではない時期かもしれません。そんな時に、無収入の状態で数万円の出費が重なるのは、精神的にもかなりキツいですよね。
4. 20代こそ知っておくべき「魔の無給期間」の乗り切り方
さらに気をつけたいのが、「給付金が振り込まれるまでのタイムラグ」です。
出産手当金や育児休業給付金は、手続きの関係上、休み始めてから実際に口座に振り込まれるまで3〜4ヶ月程度かかるのが一般的です。つまり、その間は完全に「収入ゼロ」の状態。
それなのに、容赦なく住民税の納付書は届きます。
「お金が入ってきてから払えばいいや」と思っていると、延滞金が発生したり、生活費が底をついたりする危険があります。
休業前の具体的な対策(アクションプラン)
これからパパ・ママになる20代の皆さんに、今日から始めてほしい対策は3つです。
- 「住民税専用」の貯金口座を作る
現在の給与明細を見て、住民税の金額を確認してください。
「毎月の住民税 × 休む月数」を計算し、その分だけは「絶対に手をつけないお金」として、休業前に確保しておきましょう。20代の資産形成において、一番の敵は「想定外の支出」です。 - 会社の担当部署に支払い方法を相談する
休業に入る前に、総務や人事の担当者に「休業中の住民税はどうなりますか?」と聞いてみてください。- 一括徴収:最後の給料やボーナスから数ヶ月分をまとめて引いてもらう。
- 会社への送金:会社が特別徴収を継続し、あなたが毎月税金分を会社に振り込む(これなら毎月の負担額が変わりません)。
会社によって対応は異なりますが、相談する価値は大いにあります。
- どうしても払えない時は「猶予制度」をチェック
もし準備が間に合わず、支払いが困難になった場合は、絶対に放置しないでください。お住まいの市区町村の窓口に相談すれば、事情によっては支払いを待ってもらえる「猶予制度」が利用できる場合があります。
5. まとめ:正しい知識が、家族の笑顔を守る
「住民税は後払い」
このシンプルな事実を知っているかどうかで、育休中の安心感は180度変わります。
20代は、これからの人生でたくさんのライフイベントが待っているエキサイティングな時期です。でも、その楽しみを「お金の不安」で曇らせてしまうのはもったいないですよね。
住民税は免除されませんが、事前にわかっていれば、必ず対策はできます。
「社会保険料は免除されてラッキー!」と喜ぶだけでなく、一歩先を読んで「住民税分を貯めておこう」と考えられたなら、あなたはもう立派な資産形成のプロフェッショナルへの道を歩んでいます。
今のうちから少しずつ準備をして、心置きなく新しい家族との時間を楽しめるようにしましょう!
【次の一歩として、これをやってみよう!】
まずは今手元にある「給与明細」を広げて、住民税(市県民税など)の欄に書かれた金額をメモすることから始めてみませんか?その一歩が、将来のあなたを救います。


コメント